SGテーピング                 

テーピングの発達に伴い、様々なスタイルが紹介されてきています。実際にメソッドが多すぎてどれを選んだらいいか分からない!という声を聞くこともしばしばです。
本来、テーピングとは筋肉や腱、靭帯の内部強化だけでは不十分な部分を補う目的で行われるべきものです。
格闘クリニックでは、@格闘技にマッチした、A動きやすく、Bしっかりとした効果が得られ、C誰にでも解りやすく実行しやすい方法をご紹介していきます。
この方法を、格闘クリニックでは、SGテーピングという名称で呼んでいます。SはスタートラインのS、GはゴールラインのGのことです。ときどき格闘技の会場で、解剖学的、運動学的に正しくないテーピングをして闘っている選手を見かけます。テーピングをすることでかえって必要以上に動きの制限を大きくしてしまっていたり、ただ意味もなく捲いていたりするパターンです。テーピングが「どこから始まって、どこをどのように補強して、どこで終わるか」これを意識しやすいようにSとGを設けています。
最後に、カククリちょこっと解剖学という簡単な解剖の説明を載せています。ご興味のある方は眼を通してみてください!

足関節のSGテーピング

親指のSGテーピング



足関節のSGテーピング
足首、とくに外側に怪我をしたことのある選手、試合中に転倒しやすい選手、蹴りを多用する選手などにおすすめします。

(基本)

1、内側のくるぶしの下にスタートライン(S)を、ふくらはぎの内側、やや後ろにゴールライン(G)をとります。



















2、Sから土踏まずの方向に向かってテープを伸ばします。足首と脛の角度はだいたい90度もしくは90度+αが目安です。
90度未満の場合は動きに支障が出てしまいますので気をつけてください!



















3、土踏まずから、足の外側(小指側)を通って軽く引き上げます。




















4、軽いテンションを維持しながら内側に持ってきます。



















5、脛の前を通し、斜めに走ったテープに一部が重なるようにします。最初に設定したゴールライン(G)で切れば完成です!どうですか、割と簡単でしょう?慣れてくると、数秒で捲けるようになると思います。
出来上がったら、チェックしてみましょう!
@動きやすさは損なわれていませんか?
A内返しをしにくくなっていますか?
B安心感はありますか?
Cシャドーをやってみて違和感を感じませんか?
D皮膚が引っぱられて痛くはないですか?
以上をチェックしてみて納得がいくまで練習してみてください。
普段の練習から慣れておけば、試合当日になってもあわてることなくいつものペースでテーピングができると思います!







こちらは同じ図を外側から見てみた図です。赤い斜線の部分に靭帯(ATFL:前距腓靭帯ぜんきょひじんたい)があります。このテーピングの目的は、足の内返しを防止する目的で行われます。
これを解剖学的にみますと、内返しが強制的に起きるとこの靭帯が伸びたり切れたりするのです。これを外から補強してやるのが足関節のSGテーピングです。
















(補強)

さらなる補強としまして、Sラインはそのままで、同じように土踏まずを通ってGラインを脛の外側にもってくる方法を追加しますとより強固なテーピングとなります。














カククリちょこっと解剖学

前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)の略図です。足首の、足側の骨である距骨(きょこつ)と脛の外側の骨である腓骨(ひこつ)を連結する靭帯です。格闘技では足首を極められた、キックを蹴って足の先だけが相手にぶつかった、バランスを失って小指側からマットについてしまった、などの状況で見られることが多いです。
くわしくは、選手生命を左右する障害2 足関節損傷をご覧下さい。






親指のテーピング
打撃系、組技系問わず格闘技でよく見られる手の親指のテーピングの例です。

1、右手を甲側(手背)から見たところです。拇指の根元にSラインを、拇指にGラインを設定します。どちらも関節に重ならないように注意します。










2、Sラインにテープを貼り、親指と人差し指の間を通します。そして、親指を巻き込むように手前に引いてきます。










3、軽くテンションを維持したままで、小指のほうまで巻きます。











4、Gラインで止めます。Gラインをさらに小指側まで伸ばしてもかまいません。
できたらテーピングのチェックです。
しっかりと握れますか?
外転(親指が人差し指から離れる方向の動き)は防げますか?
巻きすぎてはいませんか?








カククリちょこっと解剖学
フックを打ったときに親指だけが相手に当たった、相手の攻撃を親指に集中して受けてしまった、組技で相手の道着に指を巻き込んだ、、、、、親指が人差し指から離れる方向へ力が加わり親指の根元の関節(MP関節、拇指中手指節関節)の靭帯を痛めます。