選手生命を左右する障害 2、足関節損傷




足関節損傷:格闘技のみならず、スポーツ、そして日常でもよく見られる足首の怪我

1、どのような時に起こりやすい?

1、動きの中で足首を内側に捻り転倒した、
2、ジャンプの着地に失敗して足首を捻った、
3、蹴りの体勢で、軸足を捻った
4、自分の蹴りが足先だけ相手に当たった、
5、足首の関節を決められた、

なんて経験はございませんか?
このときに圧倒的に多いのは、外側のくるぶしの下にある靭帯(ATFL前距腓靭帯ぜんきょひじんたい、踵腓靭帯など)を損傷するパターンです。

「たかが足首の捻挫」とたかをくくってはいけません!
ほっておきますと慢性の不安定性の原因となり、足首がぐらぐらとグラつきパフォーマンスに支障が出ることになります。

2、受傷してしまったら、、、。
とにかくRICEを48時間(20分冷やす、40分休める)行いましょう。
骨折を伴っているパターンもありますから、整形外科受診とレントゲンチェックが必要です。

3、RICEがおわったら、、、、
炎症が治まって、痛みが引いてきたら、さあ、復帰へ向けてのリハビリです!!
おっと、ちょっと待ってください!!初期に絶対にやってはいけない動きがあります。
それは、足首を捻る運動です。靭帯の修復を妨げる動きを防止して、可能な動きをやっていくために
足首をサポートする装具(アンクルブレース)を使用します。
これは、足首を捻る方向の動きを制限しつつ、筋力低下を最小限に防ぎながらエクササイズを行うことができます。


4、靭帯を損傷すると一体何が問題になるのでしょうか?
@筋力が衰える
A靭帯が緩み強度が落ちる
B固有知覚が傷害される
1、2はわかるとして、3の
固有知覚って何?
足の関節には、固有知覚という感覚神経があります。
足の角度の微妙な変化を中枢(コンピューター)に送り、中枢は状況を判断して的確な筋肉への命令を送っています。だから、凸凹した道でもスムーズに歩けるのです。ところが足関節を損傷しますと、この神経が壊れて転びやすくなるということがわかってきました。「今関節の角度はこんな感じですよ」というリアルタイムの情報がコンピュータに行かないわけです。ですから、
@筋力を戻す
A靭帯を修復する
そして
B感覚を戻す
この3つの観点からエクササイズを行っていくことが効果的になります。

5、復帰のためのエクササイズは?
アンクルブレースを装着してして行います。
特に最初の2〜3週は足首の内返しを防ぐことが重要です!
Aアクセルエクササイズ(アクセルを踏み込む、戻す動き)
いすに座り、足首の曲げ伸ばしを行います。



Bタオルエクササイズ
イスにすわりタオルを床に引いて、足の指でもぞもぞとタオルを手前に引き寄せます。
慣れてきたら、タオルに重りを置いて負荷をかけます。



Cボトルエクササイズ
床にコーラのビンを置いてその上に足を置いて転がします。足の感覚と可動の訓練が同時にできるメニューです。



Dカーフレイズエクササイズ
体重をかけて、かかとの上げ下ろしを行います。おろしたときアキレス腱がしっかり伸びているのを確認します。
可動域と筋力のトレーニングになります。



Eバランスエクササイズ
片足で眼をつぶって立ちます。固有感覚のリハビリになります。なれたらバランスボードなどを使用します。



以上のエクササイズが問題なく行えるようになり、靭帯が癒合すれば運動の強度を上げていきます。
ブレースを外しても日常生活が問題なく行え、以上のエクササイズがかなりこなせるようになり、筋力、感覚が回復したらいよいよ練習復帰です!!
練習への復帰は、アンクルブレースを装着して行います。また、練習相手に怪我の内容を十分伝えておきましょう。

6、どんな人がなりやすいの?

アキレス腱の固い人
足関節の背屈が15°に満たない人は受傷のリスクが高いといわれています。
腓骨筋群の筋力の弱い人
足の裏の外側に体重が乗っている人
バランス感覚の悪い人

7、電車を利用したエクササイズ

上りエスカレーターを利用して、アキレス腱、下腿をしっかりストレッチします。
電車の中で、足の小指側を地面につかないようにして一駅の区間何も持たずに立ちます。
次の区間は休み、という風に一区間ごとに行います。
揺れる電車の中、バランスをとりながら腓骨筋群を鍛えますから、結構キツイです!