FIRST AID救急処置
格闘クリニック

FIRST AIDとは...
事故により負傷したり急病が発生した場合、医師のところへ運ぶまでの間に応急的に行う処置、手当てのことをいう。

FIRST AIDの必要性...
@医師や救急隊にわたすまでの救急処置が救命につながることが多い。
A最初の判断、処置が怪我や病気の経過や予後に大きく影響する。
B軽い怪我や病気は応急処置だけでよくなることが多い。
C事故防止や安全、健康に対する意識が高まる。

FIRST AIDのフローチャート
0、プランニング(普段から準備しておくこと)
1、意識のチェック
     ↓
2、ABCのチェック
     ↓
3、出血のチェック
     ↓
4、ショックのチェック
     ↓
5、個々の損傷に対応

FIRST AIDの実際

プランニング(行動計画)
ジム、道場で怪我や事故が起こったとき、すばやく対応できることが肝心となります。短い時間の中で正確に評価し,的確な判断を下すためにも、緊急事態に対して普段からしっかりしたプランをあらかじめたてておく必要があります。緊急事態が起きたときは、あわてて行動しがちです。リーダーの指示の元にそれぞれが短い時間で出来ることをそれぞれに役割分担して行うことが重要です。このプランニングがしっかりしているかどうかで、その後のすべてが決まってくると考えてください。


1、リーダーを決める 必ずしもグループのトップである必要はない。リーダーが不在の時にそなえ数人がリーダーとなれるように決めておく。チームドクター、メディカルアドバイザーが現場にいる場合は彼(彼女)をリーダーとする。
いない場合は、正しい応急処置のトレーニングを受けた人物がふさわしい。常に携帯電話をもち連絡先を教えておく。
2、連絡係を決める 医療機関への連絡を担当する。常に携帯電話をもち連絡先を教えておく。familyへの連絡も忘れず行う。
3、最寄の救急センター、救急病院をリストアップする。病院により常在のドクターが異なるので何科があるか事前に問い合わせておく。
4、緊急連絡先電話番号リストを作成する

病院
医師
チームドクター
警察
消防署
責任者
その他

5、付添い人を決める 病院に行くことになった時に付き添う。常に連絡できる状態にしておく。
6、情報の準備をしておく 以下の内容を電話で正確に伝えるようにする。

ジム、道場の住所                                            
発信者の電話番号
連絡者の氏名と電話番号
負傷者の氏名、年齢、連絡先、既往歴など
負傷者の状態(いつ、どこで、何が、誰に、なぜ、どのように起きたか)5W1H
応急処置の内容
メモのスペース

7、緊急時マニュアルを作成しておく 

注)負傷者が未成年者の場合、救急処置を行うに当たっても保護者の合意が必要になるため、事前に同意書をとっておくのが望ましい。


アセスメント(負傷者の評価)
原則@原則的に負傷した選手を動かさないことがまず大切です。救急隊または医師が到着するまではむやみに動かすと危険です。常に頭部および脊椎に損傷がないかどうかを念頭においておく必要があり、動かしていいのはこれらに異常がないことがはっきりしてからです。ヘッドギアや防具をしている場合もこれをすぐはずすのは危険が伴います。緊急事態が起きたときは負傷者の安全を最優先すべく全体が行動することが肝心です。

1、意識障害のチェック

大きな声で呼びかける→普通に返事→意識正常
      ↓           ↓
   返事が鈍い      返事がない
      ↓           ↓
   意識混濁       手足をつねってみる→反応なし→昏睡状態
                   ↓
                手足を動かす
                   ↓
                 半昏睡状態 

2、ABCのチェック
    A(Airway )気道確保
    B(Breathing)呼吸
    C(Circulation)循環

A(Airway)のチェック
チンリフト法で気道確保する。仰向けの状態で指先を下顎の下にあてて、ゆっくりと顎を前方に挙上する。
頚椎損傷が疑われる場合には一般のヘッドチルト/チンリフト法は危険を伴うことがある。
B(Breathing)のチェック
@胸が動くかどうか確認する。
A呼気が鼻や口から出ているか、音を聴く、ちり紙を近づけて動きを見る、鏡を置いてみるといった方法を試す。
呼吸をしていればその回数(12〜20が正常)や深さを観察する。
呼吸がなければ呼吸停止と判断。直ちに人工呼吸法を行う。
C(Circulation)のチェック
人差し指と中指のはらで喉仏に触れる。これを後上方にずらし、頚動脈を触れてみる。
耳を直接胸に当てて心音を聞いてみる。
脈拍の数、強弱、リズムを観察する。正常は60〜100。
心停止がある場合はCPR(心肺蘇生法:cardiopulmonary resuscitation)を行う。

3、出血のチェック
大量出血があるときは、清潔なガーゼで圧迫止血する。
外出血のみならず、内出血の確認も行う。

4、ショックのチェック
大量出血や血管反射、心不全等が起き、循環血流量が低下すると、重要臓器を守るために末梢(手足や皮膚)の血液や酸素の量が不足する。この状態をそのままにしておくと組織の酸素不足から組織の損傷が起こり死につながる。ショック状態を見逃さないことが負傷者の予後を左右する。
ショックは損傷の重傷度にかかわらず起こりうる。軽い損傷でも十分起こりうるので注意が必要である。
a)手足が冷たい。
b)冷や汗をかいている。
c)脈が弱いか触れない
d)不穏状態
e)身体の震え
f)呼吸不全、浅い呼吸 

g)蒼白な皮膚
h)血圧が低い

原則A以上のチェックポイントで異常がある場合はすぐに救急車をCALLします。最初の時点で問題がなくても、後から異常が判明することもあるので、常に1〜4がないかどうかチェックします。

5、個々の損傷に対応

        筋・骨格系

        内臓系

        歯科口腔系