筋・骨格系の損傷

筋肉、腱、関節、骨、など
格闘技において最も高頻度に見られます。慢性化させないためにも正しい治療が必要です。ここでは急性のものを取り上げます。


主な損傷
骨折
脱臼、亜脱臼
ストレイン(肉離れ、腱断裂など)
捻挫
打撲


FIRST AIDの1〜4のポイントのチェックしつつ、受傷部位を観察します。
変形、変色、腫脹、発赤、疼痛、運動障害、感覚障害、しびれ、熱感、創、出血、皮下出血、機能障害など

原則
@開放性骨折、開放性脱臼に注意する。
開放性、とは骨が皮膚を貫き体外へ飛び出した状態。
非常に危険な状態で、表皮の細菌感染のリスクがあるため、消毒の上、滅菌ガーゼで保護する必要がある。迅速な消毒及び整形外科的処置を必要とする。一刻も早く医療機関にかかること。
開放創に細菌が感染すると、細菌が骨髄に達し化膿性骨髄炎を起こす。この病気は非常に治りにくく、入院治療の上点滴、手術、場合によっては切断もありうる。
A骨折の可能性を想定して対処する。
例えば足首を内側に捻って転倒した場合、痛み、腫れ、運動障害、変形、変色といった症状がでる。
この段階で、骨折、脱臼、捻挫、ストレインの可能性があるがそのうちのどれかはこの段階では判断がつかない。
そこで、このような際、常に骨折の可能性を念頭において固定及びRICE処置を行いつつ医療機関を受診するのが良い。後でレントゲンの結果、骨折はなかったとしたほうが安全であり、処置も早く受けられる。軽いものだと思って放置していると、後で骨折が分かった時治療の選択肢が狭められ、かえって復帰までに時間がかかってしまうことがある。
B合併症に注意して経過を観察する。
筋骨格系の損傷の主症状として腫脹(腫れ)があるが、この腫脹の軽減が合併症のリスクを減らすことにつながる。
組織内の出血により神経や血管を圧迫し、神経麻痺、感覚障害、疼痛、蒼白、脈なし等がみられたらすぐに医療機関を受診する必要がある。RICEはこの合併症を防ぐのにも役立つ。
肋骨骨折では呼吸障害が来ることもあるので、呼吸のしっかりチェックする。
C脱臼は整復しない。
スポーツ、格闘技の現場で脱臼した際は、関節周囲の靭帯や腱を損傷や、骨折を伴っている場合もあるため、整復すると骨折の転位等を引き起こす場合がある。脱臼の整復は行わないようにする。



ほとんどのものにPRICEが適応となる。(PROTECTION、REST、ICING、COMPRESSION、ELEVATION)