GIRL 6 vol.4

女性のスポーツ外傷


女性のスポーツ活動が活発になるに従い、スポーツにおける外傷、損傷が増えてきている傾向にあります。ここでは、女性に特徴的なスポーツ障害を取り上げてみようと思います。


障害の種類はスポーツのジャンルによって異なることはもちろん、女性と男性とでも怪我をしやすい場所は違ってくるようです。 女性の場合、脱臼、捻挫、靭帯損傷のような関節の外傷が最も多くあげられています。

その中でも靭帯損傷の前十字靭帯(ACL)は女性の損傷者がもっとも多いとされています。

なぜ女性の損傷が多いのでしょうか?一つには女性は男性に比べ筋力が弱いことがいえます。他には靭帯の柔らかさにも関係あるようです。筋力が弱い、靭帯が柔らかいことから膝関節が不安定になり損傷しやすいといわれているようです。



前十字靭帯(ACL)の損傷

膝 関 節
膝関節の靭帯は主に内側側副靭帯、前十字靭帯、後側側副靭帯、後十字靭帯それに内側、外側の半月板でできています。

前十字靭帯、後十字靭帯
前十字靭帯とは膝関節の中心にあり、大腿骨(膝関節を境に上の骨)と下腿骨(膝関節を境に下の骨)をその先端で結んでいる斜めに交叉した靭帯をいいます。その斜めに交叉した靭帯後ろ側を後十字靭帯、前側を前十字靭帯といいます。では、前十字靭帯はどのような働きをしているかといいますと、膝はわずかながら回旋もできますが主に曲げたり(屈曲)伸ばしたり(伸展)の動作ををくりかえしています。 その動作の中で前十字靭帯が膝の屈曲運動の制限しているのです。



前十字靭帯損傷
膝の骨を正しい状態に保っている靭帯の伸張または断裂


損傷の原因
・足部が固定されていて大腿部または身体全体が回旋した時など膝に激しい捻転が加わった時
・膝の全面か側面、あるいは後面への直接の打撃
・大腿の筋力が弱いと特に損傷しやすい

症 状

・受傷時にpop音がすることが多い
・膝がずれるような感覚
・膝の急激な腫れ(介助なしには歩行不可能)



現場で出来ること
出来るだけ早くRICEの処置を行い、受診する。
・痛みや機能障害が強いようであれば、足をついて歩かせないようにする。



してはいけないこと
・ひねったり、急に方向を変えるような動作
・膝を完全に伸ばしたり、伸ばしすぎない  

予 防 法
起きてしまったら迅速な処置を行わなければなりませんが、起きにくくする対策として大腿四頭筋(ももの前側の筋肉)(大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋)の筋力アップがあげられるようです。大腿四頭筋は膝関節の伸ばす運動に関わります。この筋肉が弱いと特に損傷を起こしやすいとのことです。 そしてもう一つ重要な筋肉、ハムストリングス(ももの裏側)の筋力アップは重要です。大腿四頭筋が膝の伸ばす運動、ハムストリングスは膝の曲げる運動に関わります。

格闘家の皆さんには大腿四頭筋、ハムストリングスの筋力を強化することで膝損傷の予防としてだけではなく練習、試合にも大きな変化が期待されると思います。

a)大腿直筋
b)外側広筋
c)中間広筋
d)内側広筋




左図の筋肉が集り右の大腿四頭筋となります。
                  


Drに伺うと、準備運動、ストレッチを十分におこなわないまま、いきなり動き出してしまう傾向にあるとのことです。 筋力を十分につけることと、準備運動、ストレッチをおこなうことで膝関節の損傷が防げる上、技術のレベルアップにもつながると思いました。格闘技に限らず、日常生活においても数多くの損傷はあるかと思います。しかし起こってしまったあと後悔するよりも、どんな怪我がありどうすることで事前に防ぐことが出来るか、知ると知らないとでは大きく差が出てくると思います。