タンパク質(PROTEIN)とアミノ酸

格闘家、スポーツマンに欠かせない栄養素、それがタンパク質です。タンパク質を意味する英語名のPROTEINの語源はギリシャ語のPROTEIOS(最も重要なもの)に由来します。それほど生命にとって必須の物質であり、身体を構成する大切な栄養素なのです。

タンパク質は何からできている?
タンパク質は20種類のアミノ酸が結合してできた高分子物質です。そのうち9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成することができないため外から摂取しなければなりません。わずか20種類のアミノ酸がなんと10万種類にも及ぶタンパク質を体内で合成しているんです。


タンパク質、アミノ酸の役割は?
@身体を造る:タンパク質は筋肉、臓器、骨、血液、ホルモンなど身体の構成に関わります。とくに筋力、パワーが重要な格闘家、スポーツマンにとっては筋肉をつける、また筋肉を維持していく上でタンパク質は不可欠でしょう。また骨も主にカルシウムとタンパク質からできています。格闘技をやる上で骨が強いことも有利な要素といえます。
A代謝に関係:代謝に関係あるホルモンや酵素もタンパク質によって作られます。体内の環境を一定に保つためにもタンパク質の果たす役割は大きいといえます。
B免疫力を高める:風邪や病気を防ぐ、免疫機能に関わる抗体もタンパク質からできています。またマクロファージと呼ばれるウイルスや細菌を撃退する細胞を活性化するのもアミノ酸の役割。試合前、無謀な減量によって体調を崩さないためにも必要量は摂取すべきでしょう。
Cエネルギー:タンパク質は持久系の運動、特に1時間を越える運動の場合、エネルギー源として働きます。以前の研究では「糖質と脂質を使い切った後タンパク質が使われる」との報告が多かったのですが最新の研究では、長時間の運動では糖質、脂質と並行してタンパク質がエネルギーとして使われていることが解ってきました。
D疲労回復:分子鎖アミノ酸BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)、アルギニンには筋肉内の疲労物質、乳酸の生成を抑える働きが報告されています。
E脳内伝達物質の材料:トリプトファンというアミノ酸からセロトニンと呼ばれる脳内の神経伝達物質がつくられます。トリプトファンはコレステロールによって運ばれるため、タンパク質+脂質というコンビネーション、すなわち肉を食べるという行為は脳の安定につながるという報告もあります。

タンパク質は体内でどうなっている?
タンパク質は胃や小腸で分解され、小腸よりアミノ酸として吸収されいったん肝臓に行きます。そこで一部はタンパク質に再合成され、また一部はアミノ酸のまま各臓器に運ばれていきます。

タンパク質を毎日摂らなければならないのはなぜ?
タンパク質は身体の中にストックしておくことができないんです。
一度にたくさん食べても余った分は脂肪に代わってしまうか余分の窒素は尿素になって尿中に排泄されてしまいます。
また、不足すると筋肉のタンパク質をどんどん分解してしまって必要なアミノ酸をつくりだします。(せっかくつけた筋肉が落ちていってしまうということです。)
毎日摂取してこそ格闘家、スポーツマンとしての身体が維持できるといえます。

一日のタンパク質の必要量はどのくらい?

研究によりややばらつきがありますが、筋力トレーニング時には1.7から1.8g/kgといわれています。しかしこの値は普通の健康な人の運動から得られたデータ。日常の練習で筋肉の破壊が激しい格闘選手でウエイトアップやボディーメイキングの時期にあたる場合、

体重1キロあたり2グラム

と設定しても問題がないと思います。

60kgの選手⇒60×2=120g
70kgの選手⇒70×2=140g
80kgの選手⇒80×2=160g
90kgの選手⇒90×2=180g



タンパク質の摂りすぎに注意!
タンパク質を摂りすぎますと、尿中のCa(カルシウム)が増え、尿路結石ができやすくなります。
またあまったタンパクが脂肪化しますから動脈硬化や高脂血症の原因にもなります。
短期間にタンパクを多目にとっても、脂肪に代わってしまいますから経済的にも無駄になってしまいます。必要量を確実に取り続けることが格闘家のボディーを維持する上で大切です。

どんな食品に含まれている?

肉類 牛肉、豚肉、鶏肉、レバーなど。ささみはプロ格闘家にはおなじみの高たんぱく食です。
魚介類 マグロの赤身、サケ、ブリ、かつお、エビ、タコ、イカ、貝類、ツナ缶など。カルシウムも取れてお得。
乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルトなど。牛乳にプロテインパウダーを混ぜて摂るとよい。
卵の白身には良質のタンパクが。黄身はとり過ぎないように注意。
大豆、豆腐類 大豆、納豆、油揚げ、高野豆腐、絹ごし豆腐など。
野菜類 ニラやほうれん草にはタンパク、ビタミンが豊富に。