GIRL 6 vol.3


スポーツ貧血

ここでは多くの女性に関係ある貧血をとりあげます。その貧血の中でもスポーツをする女性にあてはまる、スポーツ貧血です。




貧血とは・・・
ヘモクロビンが成人男 13g/dl以下,成人女 12g/dl以下,妊婦 11g/dl以下の状態。


ヘモクロビン(Hb)??
ヘモクロビン(Hb)とは血液中の赤血球内にあり、酸素を体の組織へ運ぶもの

このヘモクロビンの役割がきちんとおこなわれる事で、私たちの体が元気に活動できるのです。 では、このヘモクロビンの役割が衰えるとどうなるか?それは私たちがよく言うところの”貧血の状態”になるわけですしかしこの一般で言われるところの”貧血の状態”とは間違った表現なのです。
 



間違った知識

「貧血で倒れた」と表現しますが、これは間違った表現だといいます。貧血とは上記に書いたものが貧血であって、めまいなどをおこし倒れることを貧血というのではないそうです。それともう一つ、「貧血がおきた」イコールめまい、息切れ、動悸などと表現しますが、これも間違っています。 これらは貧血がおこった時の目で見える症状であります。



貧血を治す一番の理由を知っていますか?

一般知識の私たちでも、貧血がおきているとき体の中に鉄分が不足しているのはわかりますよね。しかしなぜ治すか?と聞かれても明確な答えを出せる人はあまりいないと思います。その答えとは、心不全(臓器に必要な血液がいかなくなる状態)を防ぐためなのです。ご高齢者で心不全のため死亡とよく耳にしますが、決して高齢者特有の病気ではなく貧血の多い私たち女性やスポーツをしている者にとっては大事につながる要因の一つのようで
す。




たまにマラソンを見ていると心不全をおこし死亡する人がいたり、何年か前にも、小学生のマラソン大会において心不全をおこし死亡した生徒がいて問題になりましたよね。心不全とは、心機能が低下することで循環不全がおこることです。血液が貧血の状態になればどんなに心臓が頑張ってもなかなか必要な酸素が、体の組織にいきわたりません。心臓に異常がなくても相対的に心不全の状態になってしまいます。







貧血の症状

貧血に陥ったスポーツ選手は、めまい、胸痛、動悸、息切れ、などの一般的な貧血症状だけでなく、スポーツ活動に支障をきたすことが訴えになることが多いそうです。例えば「練習についていけなくなった」「トレーニングの効果が上がらない」「記録や結果がどんどん低下してきた」などの貧血の自覚症状が現れた時には、血液中のヘモクロビンが10g/dlまで低下していることが多く、治療を開始したとしても回復するまでに2〜3ヶ月かかる上、その間のスポーツ活動が制限されるようです。

スポーツをしている人の中には、自分が貧血(重度)に陥っていることに気づかず、ごく普通に生活しているひとも多いそうです。目に見えない症状に気づかず、手遅れになり兼ねません。



(例)女性選手の中にスタミナ稽古をしているにもかかわらず、息が切れる、スタミナがない。

このような状態になった時に、貧血かもしれないと疑う必要があります。スタミナ稽古をしているのですから心肺機能は高いはずですが、肺から酸素を取り込んだ後 各組織、(特に筋肉)に運ぶための赤血球(ヘモクロビン)が減っていると組織に酸素がいきにくいので、このようになることがあるそうです。ですから、貧血がベースにありスタミナ稽古をやってもいっこうにスタミナが付かない選手に、それ以上のスタミナ稽古をさせることは危険であって、まず貧血の改善をはかるのが正しい方法といえます。




貧血の原因

スポーツ選手の場合、一般の人よりも汗をかきます。その汗と一緒にヘモクロビンと鉄が失われてしまいます。その他にも、尿や便なども同様だそうです。女子選手は月経も大きな原因ですね。それと驚いたことに、足の裏に強く衝撃がかかる運動(格闘技も十分含まれます)において、足底の血管が圧迫され、血管がつぶされる事により尿と共にヘモクロビンと鉄が失われる事もあるそうです。この他には、鉄分摂取不足などがいわれています。




貧血の予防


・「練習についていけなくなった」などのスポーツ活動に支障をきたす訴えの場合、貧血を疑う。
・軽い貧血や鉄欠乏症を発見するため、女子選手(特に春思期)には年2回くらいの血 液検査が
必要である。
・バランスのとれた食事から、一般人の2〜3倍の鉄分を摂取する。

・自分の血圧(平均)を把握し、測れるときには測るようにする。

スポーツ選手では一般人の2〜3倍の鉄分が必要とされている為、バランスのとれた食事から十分な鉄分を摂取するよう心がけてください。この他にも鉄剤で補うということもありますが、鉄剤に頼りすぎると本来体で作られた血清鉄ではないため、鉄剤の服用を減少し中止することで血清鉄も低下し再び貧血になることがあるようです。練習後や運動後にはしっかりと水分と鉄分を摂取するよう心掛けてください。



今自分が貧血になっているか?なっていないか?簡単に調べる方法があります。

私も入院中、Drや看護婦さんにこの方法でも調べてもらっていました。

下まぶた(内側)の色で分かるそうです。あっかんべーをするように下まぶたをさげると、まぶたの内側がみえますよね。内側の色が白くなっていたら、貧血状態にあると言えるそうです。





今回”貧血”を勉強してみて、いままでどれだけ貧血を簡単に考えていたか?間違った知識が付いていた事に気づきました。 選手時代、試合前は減量もあり血圧が上80台に下がっても多少の具合悪さを感じつつ、平気で日常生活や車の運転をしていたことがあります。検診のため病院へ行くと、「少しここで休んでいきなさいと」しかられたこともあります。試合の時は計量も終え、食事をしてからですが前日にあんな状態にもかかわらず、次の日には殴り合い、蹴り合いの試合をしていたかと思うと、今になりぞっとします。






皆さん、病院へ行って時のついででもいいです。是非血液検査をしてみてください。外からでは分からない問題もたくさんあります。自分の体は自分でしか守れないのです。