味祭ルポ 新田選手、2度の悶絶KO敗退!?BY 大西 桃子
7月17日朝、窓の外は雨‥‥。
大丈夫かなぁと思いながら急いで会場へ。
この日、味の素スタジアムにて、『味祭 格闘技ステージ&キックボクシング教室』が開かれたのだ。
我らがチャンプ西山誠人選手の呼びかけで、名だたる格闘家たち格闘技の魅力を多くの方に伝えるために集結。
こんな夢のようなイベント、行かないわけにはいかないでしょう!?
幸い、到着してみると小雨がパラつく程度で気温も快適、すぐにステージが始まった。
まず登場は、J−NETWORKのグレイシャア亜紀選手と、元全日本王者、武蹴会館の北島麻苗美選手。
スパーリング開始!グレイシャア選手には格闘クリニックのメディトレでお会いしたことがあり、その元気イッパイなファイトを見ていると、こちらもついつい気合いが入ってしまう!
私の中では「リポDお姉さん」‥‥もといっ、「アミノバイタルお姉さん」なのだ(勝手にスミマセン)。
負けず劣らず、北島選手も気合いたっぷりで、同じ女性としてはもう感心するばかり。
次のスパーは山田選手vs小宮選手のキック対決。
鋭い打撃の応酬が繰り出されるも、よーく見たら二人ともニコニコ笑顔!
ステージを見つめる観客よりも誰よりも、本人たちが一番楽しんでいる、それってとても素晴らしいことだと私は思う。この
二人のスパーリングが、この日、「格闘技は楽しい!」というのを一番アピールしていた瞬間だったかもしれない。
2本のスパーが終わると、次はDr.Fによるバット折り。
実は失礼なことに私はDr.Fの空手をまったく知らず、空手着で出てきた二重作さんを見て感動!
「日本の平和と味の素の皆様の健康を祈り‥‥」という、なんともピースフルな前フリから入り、「足が折れたらゴメンナサイ」といつもの二重作節をまわしたかと思いきや、バキンと一発、見事に回し蹴り炸裂。‥‥目が覚めたぁぁ!!
お次は小隊長のブロック割り。
あーもう、やめて〜!!と緊張して見つめていると、こちらも気持ちよく一発粉砕。
こちら、後ほど砕けたブロックをこっそり触ってみたら、興奮倍増。
よくもまぁこんなに砕きますね!
さらに重ねて、北島アヤト選手の四方割り。
こちらはバウトレビューさんに掲載の写真をご覧いただくと、その鮮やかさは一目瞭然。
1枚、2枚、と割り続け、4枚目の蹴音がスタジアムに気持ちよく響いた。
続いてそのアヤト選手と、先ほどの小隊長選手の空手スパーが終わると、次はいよいよステージのメイン!
今回の主役、西山選手のスパーリングのお相手は‥‥、
2005年K−1MAXファイナリスト、新田明臣選手!夢のカード実現に、会場にはどよめきが。
両選手を手拍子で迎え入れ、開始のゴング!
激しいパンチの応酬に会場は興奮。
もっと長く、見ていたい‥‥と思った瞬間!
新田選手、まさかの転倒!
そのままステージ上で悶絶し、ノックダウン。
「ええ〜?」と思ったのは私だけではないはず!
終了後、ステージから観客に「もうちょっと笑ってください」という新田選手だったが、
「そりゃー面白かったけど!もっと見たかったデス!」というのが私の本音であった。
‥‥でもやっぱり、これが新田選手の魅力。
二人のトップファイターが短い時間でもこうして絡んでいる姿を見られるのは、やっぱり幸せなことだと感じた。
後半はキックボクシング教室。
大人から子供まで、女性も参加して、前半で素晴らしいファイトを見せてくれた講師陣たちに基本からレクチャーを受ける。格闘技ファンならよだれが出そうなイベントだ。
まずは全員で、格闘クリニックDr.Fの指導によるウォーミングアップ。
メディトレクラスでも行われているメニューを全員でこなす。これが、ウォーミングアップとは言え大変!ただ、よくスポーツシーンで「めんどくさい」と軽く見られがちなウォーミングアップでも楽しみながらしっかりこなせるのが、このKAKUKURIウォーミングアップの良いところ。
終わった方に感想を聞くと、「もう汗びっしょり!」「これ、ウォーミングアップじゃないです!」と笑顔と息切れで答えてくれた。今回は参加者のほとんどが、キックボクシング未経験者。格闘技自体も未経験という方が多く、これからがキックの面白さを体験できる貴重な時間だ。
ウォーミングアップが終わると、5つのグループに分かれての技術レクチャー。
講師は各グループ2名ずつで、それぞれに個性を出した指導が繰り広げられた。
中でも北島アヤト選手のグループはかかと落としに後ろ回し蹴りなど、高度な技が次々と飛び出し、みな必死でこなしている。
グレイシャア選手のグループからは気持ちのよい掛け声が響く。
新田選手は自らの体をミット代わりに、子供たちに何度も何度もパンチを出させる。なんと贅沢な!
各チームひととおり基本練習が終わると、次は全員で成果発表。
習った技をミットにぶつける。子供たちも、この短い時間でずいぶんサマになっている!ここでなんと新田選手の足がミットとして提供された!K−1選手の足を直接蹴るなんて!
「はいどうぞ」とナマ足を突き出す新田選手に、続々挑戦者が現れるも、思い切り蹴った後は「なめてました、痛いです‥‥」との声が。
恐るべし新田明臣。
‥‥しかし!ここでハプニング発生。
最後の挑戦者の鋭い蹴りに、新田選手悶絶!
ステージでの西山選手に続き新田選手をKOした挑戦者は‥‥見目麗しき女性。
覚えたてのキックで新田選手を倒すとは!これはもう、女子格闘家になってもらうしかナイ!
続いて各チームから代表を選出して、板割り。
あの〜、さっき習ったばかりでちゃんと割れるんでしょうか?と心配のまなざしを向けていると、
さすが一流講師陣に指導を受けただけあって、キレイに決まること決まること。でもさすがに子供には難しいだろうと思えば、こちらもちゃんと割れました!(ひとり泣いてたけど‥‥)
あっという間に終わってしまったけれど、全員で心地よい汗をかいて、格闘技の楽しさを味わって、本当に充実のイベントだった。
参加者の子供の「大きくなったらキックボクサーになる!」という夢のはじまり。
女性の「気持ちよかったです!」という笑顔。
きれいなキックをマスターした男性の「今日やってみて、これから道場に通ってみようかなと思いました」という熱い言葉。
それらが今回の成功の証!
今回このイベントに足を運んでみて感じたのは‥‥。
一般の方は「やってみたいけど怖い」という気持ちになってしまってなかなか格闘技の世界に足を踏み込めないことが多いと思うが、トップランクの選手たちが集まり今回のようなイベントを行っていくことで、その一歩を踏み出せる人がもっと出てくるのではないかということ。
試合でファンを魅せる熱い戦いを繰り広げること、選手自身のために強さにこだわり続けることも、もちろん大切なことではある。
けれど、まだ格闘技を知らない人々に、格闘技の楽しさをいかに伝えるか、それを考えていくことも、格闘技を愛する者のなすべきことではないかと。
ただ厳しい、辛いだけでなく、楽しいからこそどんな試練も乗り越えていける。
その基本のところを、より多くの方に理解・体験していただくことで、格闘技界はもっともっと盛り上がるはず!
今回、西山選手はじめトップランクの格闘家の方々がこうしてその方法を示してくれたが、今後もこうしたイベントをもっともっと多くの格闘家の方に開いてほしいと思う。 大西 桃子